『所得税』と聞くと給料に課せられる税金だという事はなんとなく知っているという人も、どの収入までが所得税の対象なのか知らないという事も珍しくありません。
株の配当金や宝くじの当選金には所得税がかかるの?
職場の同僚と所得税の額が違うんだけど所得税ってどうやって決まっているの?
所得税ってどんな税金なのかという事を書いていきたいと思います。
給料収入や儲けにかかるのが所得税
所得税というのは日本国民が1年間に稼いだお金にかけられる税金です。
この所得税というのは国税に分類されています。
所得税を考える時に『所得』を割り出さなければ税金をかける事が出来ません。
会社員の例で言うと給与収入から必要経費を除いた利益。
自営業の場合も総収入から必要経費を除いた利益。
この必要経費を除いた利益が所得税のかかる『所得』になります。
この所得税というのは2014年度の全ての国税の税収の内の30%を占めている重要な財源だと言う事がわかります。
所得税は人によって違う?
先程も書いたように所得税というのは国民が1年間で得る収入に対して課せられる税金です。
ただ、その収入には健康保険や年金、社会保険、生命保険や医療費など、いろいろと支払わなければならないお金も含まれていますよね?
それこそ自営業の場合は材料費や人件費やお店を構えていれば家賃光熱費に通信費や福利厚生費など支出もたくさんあるはずです。
これらの支出は必要経費として差し引く事が出来るんです。
そして、これら必要経費を除いたものが『所得額』となって課税対象になります。
①所得税の計算式はまずは所得額を確定させます。
①『総収入額(1年間の収入)-必要経費=所得額』
②所得額に税率を掛けて所得税額を算出します。
②『(所得額-所得控除額)×税率=所得税額』
ここで気になるのが『税率』と『所得控除額』だと思います。
税率とは?収入によって税率が違う
所得税には累進課税(るいしんかぜい)と呼ばれる課税方法が採用されています。
この累進課税というのは所得額が大きくなるほど税率も大きくなるという仕組みです。
簡単に言えば稼げば稼ぐ程、たくさんの税金を納めなければならないという事です。
どうして所得税は累進課税を採用しているのでしょうか?
収入の大小関係なく税率を一律20パーセントに固定した場合、所得の低い人と所得の高い人との間で不平等感が生まれてしまう事を軽減させるという名目です。
逆に所得が高い人にとっては不平等感があるとも言えますが・・・
所得税の税率は以下のように分類されています。
所得額 | 税率 | |
195万円以下 | 5% | |
195万円超~330万円以下 | 10% | |
330万円超~695万円以下 | 20% | |
695万円超~900万円以下 | 23% | |
900万円超~1800万円以下 | 33% | |
1800万円超~4000万円以下 | 40% | |
4000万円以上 | 45% |
所得控除って何?
税金には控除(こうじょ)というものがあるのですが、この控除というのは最低限の生活を守る為に存在しています。
例えば同じ収入でも人によっては独身の人や家族を養っている人、子供がたくさんいる人や病気になり医療費がかかる人など生活費というのは様々です。
そんな人たちを区別しないで一律に同じ税金を課してしまうと生活が成り立たなくなり破綻する人というのも出てきてしまいます。
そうならない為に、その人の経済状況に応じた課税を行う為に控除というものがあるんです。
そして所得控除というのは一定の基準で控除額を決めて条件に当てはまる人の所得から控除額を差し引いた額に対して税を貸すという仕組みなんです。
会社員の場合は毎月の給与から自動的に所得税が引かれていると思います。
一見すると自分は何もしなくて良いから楽だと思いますが、この所得税は毎月の給与の額から会社がおおまかに算出したものでしかありません。
それこそ家族を養っている場合などには控除が受けられ、実際には会社員の場合は年末調整で控除を受ける事が出来ます。
主な控除の種類 | |
配偶者控除 | 配偶者がいる場合に所得に応じて受けられる |
配偶者特別控除 | |
扶養控除 | 扶養している家族や親族がいる場合 |
雑損控除 | 災害や盗難など生活資産に損害があった場合 |
医療費控除 | 自分と家族の医療費が一定額を超えた場合 |
寄附金控除 | 国や公益法人などに寄附金を払った場合 |
社会保険料控除 | 自分や家族の社会保険料や国民健康保険料、国民年金などを支払った場合 |
生命保険料控除 | 生命保険、個人年金保険など保険料を支払った場合 |
障害者控除 | 自分や家族に障害がある場合 |
勤労学生控除 | 仕事をしながら高校や大学に通っている場合 |
寡婦・寡夫控除(かふこうじょ) | 配偶者と死別した後に再婚をせず誰の扶養にもなっていなくて一定の所得以下の場合 |
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配偶者控除が150万円になる!?
現在、給与所得や基礎控除の合計は103万円に設定されていて1年間の所得が103万円以下の場合には所得税がかかりません。
配偶者控除は夫婦とも働いている場合、夫の扶養に入っている妻の所得が年間で103万円以下の場合には妻の所得税が0になるだけでなく配偶者控除が認められるので、夫の税金も安くなります。
例えば妻がパートで働いている場合に扶養控除の対象から外れないように年間所得103万円を超えないように勤務時間や勤務日数を調整しているという人も少なくなく、それが女性の社会進出を妨げている要因だとして2018年から配偶者控除の条件を103万円から150万円に引き上げる事になりそうです。
年末調整って何?
会社員というのは毎月に給与明細に細かな情報が記載されているので給与明細は見るようにしましょう。
意外に『給与明細なんて詳しく見た事がない』という人もいるので一度じっくりと見てみる事をオススメします。
大体の給与明細は基本給に各種手当て(残業代なや通勤手当てなど)が加算されている一方で年金や健康保険料などの社会保険料など引かれているものもあります。
その引かれている中に所得税も含まれていて、毎月の給与から必要なものを解散して会社が差し引いてくれています。
ところが所得税というのは1月1日から12月31日までの所得がベースなので現在、毎月引かれている税金は正確な数字ではなく概算でしかありません。
毎年12月に1年間の給与が決まるタイミングで所得税額の過不足を改めて計算します。
そして正確な税額が確定した場合に課税しすぎていた分があれば還付(払い戻し)をしたり、もしも課税が足りていない場合には追加で差し引いたりします。
これを年末調整と呼びます。
確定申告って何?
会社員でなく自分でお店などを営み生計を立てている人を自営業と呼びますが、自営業の人には年末調整はありません。
年末調整がないので自営業の人は確定申告を行います。
確定申告は毎年2月~3月に行われ総収入や必要経費、所得額といった1年間の収支を自分で計算して税務署に申告しなければなりません。
この確定申告は自営業の人だけがするというものではなく会社員も確定申告をする場合があります。
株で儲かったとか会社から貰う給与以外の収入が発生した時です。
さて、ここで気になるのは『所得』ってどこまでが所得なの?という事ではないでしょうか?
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所得って何が所得に該当するの?
所得は会社から貰う給与だったり自営業での利益という事はわかると思いますが時々『これって所得?』と疑問に思う物ってありませんか?
所得には以下の10項目があります。
所得の種類 | 解説 |
給与所得 | 会社から払われる給与やボーナス |
事業所得 | 小売業、農業、漁業、製造業、サービス業などの事業による所得 |
退職所得 | 会社を退職する際に払われる退職金や厚生年金保険法に基づく一時金 |
不動産所得 | 建物や土地の売買や航空機や船舶の貸し付けなどで得た所得 |
利子所得 | 預貯金の利子など |
配当所得 | 株式や投資信託などの配当による利益 |
譲渡所得 | 建物や土地などの資産を譲渡した時に発生した利益 |
山林所得 | 山林を伐採して譲渡した時に発生した利益 |
一時所得 | 福引きの賞金や懸賞、競馬の払戻金や保険の一時金や返戻金など |
雑所得 | 年金や印税など |
国税庁は上記の10種類に所得を分類していて該当する所得を得た場合には申告が必要としています。
所得の疑問!
所得や所得税に関する疑問の中で特に多いと思われる疑問を解決していきたいと思います。
耳にした噂もあると思いますが、それが本当に正しいのか知っておく事は非常に重要です。
疑問①:アルバイトでも所得税を払う?
アルバイトやパートで働いていても給与明細を見ると所得税がしっかり差し引かれている場合があります。
これは会社員と同様に概算で計算され差し引かれているのですが実は所得税を納めなくても良い場合というのもたくさんあります。
給与所得は年間の所得が103万円以下なら所得税は0です。
ですので年間所得が103万円以下なのに概算で所得税が差し引かれていた場合は確定申告をする事で還付金として納めた分が戻ってくる事になります。
疑問②:宝くじって非課税って本当?
本当です。所得には10種類あると書きましたが、その中の『雑所得』というものが曲者で、雑所得によって、ほとんど全ての所得が所得税の対象になっています。
けれど、宝くじやtotoの当選金は非課税です。
例えば宝くじで4億円当選したとしても当選金付証票法という法律によって税金が課税される事はありません。
その他の非課税対象の収入は『通勤手当て』『慶弔の祝い金』『香典』『住宅ローンの金利補助』『失業手当金』などが非課税になっています。
さいごに
所得というのは急な収入などがあっても、それが申告が必要なのかわからないという場合もあると思います。
それでも国税局や税務署は会社や個人が正しく税金を納めているか確認しています。
判断出来ずに悪意なく申告をしなかった場合は申告漏れとして犯罪とされる可能性は低いですが、申告すべき所得をワザと隠していたなど悪質な場合は罰として本来おさめるべき税金より40%程度重くなってしまいます。
申告をしなければ悪意がなかったとしても税金が加算されてしまいます。
税の種類 | 解説 | 加算率 |
重加算税 | 意図的に所得を隠していた場合、過小申告加算税や無申告加算税や不納付加算税もろとも加算されます | 40%程度 |
無申告加算税 | 確定申告期限内に申告しなかった場合 | 15~20% |
過小申告加算税 | 期限内に申告した額が実際の額より少なかった事で修正申告書、更正申告書を提出した場合 | 10~15% |
不納付加算税 | 源泉徴収税の納付期限内に納付しなかった場合 | 10% |
延滞税 | 期限内に完納出来なかった時に完納するまでの間に利息が加算されます | - |
それでも税金を納める事が出来なければ最後には強制執行によって差し押さえを受けてしまいます。
そうならない為にもなるべくキチンと申告をして税金を納めるようにしましょう。
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