自作PCというのは過去には高スペックなパソコンが市販のパソコンよりも安く組めるというのが売りでした。
しかし近年はパソコンメーカーの価格競争も激化し市販パソコンの価格も低下してきているので
価格面での自作PCのメリットというのは薄れてきています。
ただ、それでも自作PCには自作PCのメリットというのが、まだまだあるので
ここでは改めて自作PCに注目していきたいと思います。
自作PCとは?メリットは?
まずは自作PCのメリットを語るには市販のパソコンの問題点を挙げる必要があります。
市販のパソコンのデメリットというのは、パソコン市場の変化によって市販パソコンのラインナップに変化が起きた事。
それによってデスクトップパソコンの選択肢が激減している事です。
近所の大型家電ショップに行っても、最近はやたらとモニターとボディが一体化したオールインワンPCが多いと思いませんか?

一体型のオールインワンPC。
この一体型のPCはノートパソコン向けのCPUを利用していたりHDDの増設が出来なかったりと拡張性が乏しいのが難点です。
単純に自作PCのメリットというのは以下にまとめる事が出来ます。
自作PCの主なメリット
- 拡張が自由自在・メンテナンスもしやすい
- 使用用途に特化したPCが組める
- 格好良いPCが組める
主なメリットはこのようになっていると思いますので詳しく解説してみたいと思います。
拡張が自由自在・メンテナンスもしやすい
自作PCの拡張性の良さというのは市販のパソコンには真似する事が出来ない圧倒的なメリットになります。
例えば、HDDを5台や6台搭載したりメモリも拡張して最大64ギガに増設する事も可能ですし
グラフィックボードはデュアル構成にするなど一度パソコンを組み立てた後でも自分好みにカスタマイズしたり
性能を良くする事も簡単に出来るというのは非常に大きなメリットになるはず。
使用用途に特化したPCが組める
市販のパソコンというのは、どんな使い方にでも対応出来るようにバランスを重視して作られていたり
流行りの最先端の機能を搭載する傾向があるんですが、自作でパソコンを作る場合は
自分の用途に合わせて必要なパーツをハイエンドにして、あまり必要ではないパーツはローエンドにするなど
目的にマッチしたパソコンを作る事が出来ますので無駄なコストを使う事を避ける事が出来ます。
格好良いPCが組める
パソコンは機能が大事なのは当然ですが、自作PCではデザインにこだわって作る事ができるという点もメリットになります。
パソコンケースも様々な種類があるので、それを買うか迷うくらいですし
ケースの中を電飾で光らせるなどのドレスアップも楽しみに一つになるでしょう。
市販のパソコンは量産品なので似たようなデザインになる事が多いのですが
自作PCの場合は個性的なパソコンを作る事が出来るのも意外と大きなメリットになるでしょう。
パソコンの内部の仕組み

パソコンの内部はこうなっている。
パソコンを自作する時には最低限、パソコンを構成しているパーツと機能を知っておきたいです。
パソコンはケースの中で様々なパーツがそれぞれの役割を果たしているから起動します。
上記の画像で基本的なパソコンのパーツ構成を説明しているのですが
一つ一つのパーツを詳しくご説明していきたいと思います。
CPU

パソコンの中心的な役割を果たしている。
CPUというのはパソコンの基本的な処理を担っている重要なパーツです。
このCPUの性能によってパソコンが処理出来るスピードが速くなり快適にパソコンを使う事が出来ます。
パソコンの中でとてもハードな仕事をしているので非常に熱を持ちやすくなっているのでCPUの上には
冷却ファンやクーラーを載せて常に熱を逃がしてあげる必要があります。
パソコン全体の処理を行うCPUはバージョンが進むにつれて改良が加えられていくので、最新のシリーズであるほど高速の処理が出来るようになっていきます。
高性能なCPUは値段も高いのですが高速で安定したパソコンにしたい場合はケチらないで良いCPUを購入する方が良いです。
コア数と比例する処理能力
CPUはコアと呼ばれる計算を行う部位があり、このコアの数によって処理能力に差が出ます。
元々はCPUにはコアは一つしかなかったのですが技術の進化とともにコアを複数持つCPUが出てきました。
このコアは一つよりも二つ、二つよりも四つと多い方がプログラムを効率的に動かす事が出来るのですが
その分、発熱も増えますし電気の消費量も増える事になります。
CPUの型番の見方
CPUには型番という物があるのですが、この型番を正しく理解しておくと上手にCPUを選ぶ事が出来ると思います。
Core i9-7920Xこれが型番なのですが、見方は以下になります。
一般的に使われているIntelのCPUで書いていますが、世代の後に入る3桁の数字が大きい程に性能が高くなります。
また、最後のアルファベットは規格が表示されているのですが末尾にアルファベットがないCPUは通常版のCPUです。
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メモリ

PCの作業スペース。
パソコンを自作する時に実は一番選ぶのが難しいのがメモリです。
メモリはパソコンの作業スペースとして重要な役割を担うパーツなのですが、規格や仕様の表記が複雑で知識がないと正しく選ぶ事が難しいパーツでもあります。
仮に高性能なCPUを搭載しているパソコンを持っていても、十分な広さの作業スペースがないとCPUは本来の能力を発揮する事が出来ません。
メモリの規格は3種類ある。
メモリの規格には『DIMM』『SODIMM』『MicroDIMM』があります。
これはメモリの形状を表している物で、パソコンに積む事が出来るメモリはCPUやマザーボードに合わせなくてはいけません。
ザックリと以下のように覚えておくと大丈夫です。
メモリの規格 | |
DIMM | デスクトップパソコン用 |
SODIMM | ノートパソコン・小型ベアボーン用 |
MicroDIMM | 小型ノートパソコン用 |
メモリのDDR規格とは?
さて、メモリの厄介な所は形状の規格の他にもDDRという規格がある所です。
現在流通しているメモリは大抵は『DDR3』『DDR4』のどちらかである事が殆どです。
DDR規格は基本的に数値が大きければメモリの性能も高いという事になります。
マザーボード

各パーツを接続する基盤。
マザーボードは人によってはメインボードと呼ぶ事もある非常に大きな基盤で、CPUやHDDなど全てのパーツはマザーボードに接続されます。
パソコンの頭脳であるCPUはマザーボードを通して各パーツとデータのやり取りをするのでマザーボードもなくてはならない大切なパーツです。
このマザーボードにも、やはり規格があって選ぶマザーボードによってパソコンケースも決まってしまいます。
反対に先にパソコンケースを決めた場合は使えるマザーボードも決まってしまう事になります。
マザボのフォームファクタ
フォームファクタというのは寸法の標準化の規格で、この規格がある事でパソコンのパーツが異なるメーカーの物であっても互換性が保たれているんです。
マザーボードもこの標準化の規格によって寸法が定められています。
マザーボードの寸法 | ||
規格 | サイズ(単位は㎜) | PCI拡張スロット数 |
HPTX | 345×381 | 9 |
E-ATX | 305×330 | 7 |
ATX | 305×244 | 7 |
Micro-ATX | 244×244 | 4 |
Mini-ITX | 170×170 | 1 |
上記の表のように規格によって大きさが違うのですが、基本的にサイズが大きい方が拡張性が高く高性能です。
グラフィックボード

映像描写を向上させる。
ビデオカードやGPUとも呼ばれるグラフィックボードですが、役割はパソコンの映像の描写を強化する為の拡張ボードです。
GPUが内蔵されているCPUの場合は必ずなくてはいけないという事はないのですが、GPUを内蔵していないCPUの場合はグラフィックボードは必須になります。
オンボードの場合はグラフィックボードは必須ではないですがゲームをパソコンでする人はグラフィックボードはあった方が良いです。
組み込まれている物で、その中で映像出力も担う物を
オンボードグラフィックスと呼びます。
パッケージの見方
グラフィックボードのパッケージから性能をチェックする方法をご説明していきたいと思います。
➀はGPU(ビデオチップ)なのですが、これはグラフィックボードの性能を決定する項目です。
GTXはクラスを表していて、750の7は世代で50は同世代でのグレードになります。
ちなみに、GeForceの場合はGTXが最高クラスでGX⇒GT⇒GTS⇒GS⇒Gと暮らすが下がっていきます。
➁はグラフィックボードの基本スペックが表記されています。
➂と➃はグラフィックボードに搭載されている映像出力端子の種類です。
➄は冷却方式とファンの数です。
➅は映像処理を行う際の利用するプログラムです。
モニター側の端子に注意しよう

端子は種類がある。
パソコンに高性能なグラフィックボードと積んでも、その性能を十分に発揮する事が出来る環境でなければ
宝の持ち腐れになってしまいます。
基本はグラフィックボードに搭載されている出力端子と同じ端子がモニター側にもついていないと始まりません。
現時点でグラフィックボードに搭載されている出力端子というのはまちまちです。
最近はHDMIでの接続が主流なので古いD-Subは搭載されていない物も増えてきています。
グラボとモニターで同じ端子があるのかを確認しましょう。
光学ドライブ

CD・DVD・BDなどの記憶装置。
光学ドライブは動画の再生などを楽しむだけでなく、OSやソフトのインストールにも欠かせないアイテムです。
CDとDVDに対応している物が殆どなのですがBDにも対応している光学ドライブもあります。
HDD/SSD
動画や画像などのファイルを保存するストレージには『HDD』と『SSD』があります。
目的に合わせてストレージを選ぶ事が大切なのですが、最近ではSSDがやや主流になっているようです。
基本的にはHDDは価格が安くて大容量なのに対してSSDは価格が高くて容量はHDDよりも少ないです。
こう聞くと、SSDにするメリットがないと考える人もいると思いますが、SSDはHDDに比べて圧倒的に速度が速いという利点があります。
HDDとSSDの詳しいメリットとデメリットをご紹介したいと思います。
HDDのメリット・デメリット
HDDは大量のファイルを保存出来て、価格が安いという事が最大のメリットです。
容量が1TBを超える物でも価格は1万円以下で購入する事が出来ますし
物によっては3TBで1万円を少し超えるくらいの物もあります。
デスクトップ用のサイズは3.5インチで主流は6TBなど大容量のモデルです。
デメリットとしてはHDDの内部では磁気ディスクが高速で回転しているので落下の衝撃に弱い所と
SSDと比べてデータのアクセス速度が遅いという点でしょう。
SSDのメリット・デメリット
SSDはHDDと比較すると数倍もデータのアクセスが速い事が最大のメリットです。
HDDだけのパソコンとSSDを搭載しているパソコンでは立ち上げから操作可能になるまでの時間が全然違います。
デメリットとしてはHDDと比べると容量が少ないのに高額な所でしょう。
6TB以上までカバーするHDDと比べると128GB~512GBが主流になっています。
高速化ならSSD・容量重視ならHDD
ファイルへの読み書きが速くOSやソフトを起動する時間が短いのがSSDなのでサクサクとパソコンを使いたい人は迷わずSSDを選びたいですね。
SSDはフラッシュメモリにデータを保存しているのでデータへのアクセスが本当に速いのでおススメです。
またSSDは『MLC』と『SLC』に分類されていて、それぞれに特徴があります。
SSDのMLCとSLCの特徴 | ||
MLC | 低価格で大容量で転送速度が速い | |
SLC | 高価ですがデータの書き込み可能回数が多く 耐久性が抜群に良い。 |
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電源

電力をパソコンに供給する役割。
電源はマザーボードを通じてパソコン内の機器に電力を供給するユニットです。
電源は各商品によって電力の最大ワット数が定められているので自分が組む予定のパソコンのパーツがどれくらいの電力を使うのかを把握して
必要ワット数よりも余裕のある電源を選ぶ事が必須です。
安いからと適当に電源を選ぶと、パソコンが正常に起動しなかったり、使用中に突然電源が落ちてしまう事もあります。
ハイエンドのCPUやグラフィックボードを積んでいる場合は消費電力は上昇するので容量が大きい電源ユニットを選ぶようにしましょう。
最低限の規格は抑えられているので安心と言えば安心です。
パソコン自作の流れは?
各パーツを選んだら、実際にパソコンを組み立てていくのですが、ここでは簡単に組み立ての基本的な手順をご紹介してみたいと思います。
自作パソコンなんて難しそう!と思うかもしれませんが、実はやってみると意外と出来る物なんです。
自分で1から組み立てたパソコンは愛着がわくので、ぜひチャレンジしてみて欲しいと思います。
1・CPUを取り付けよう
マザーボードのCPUソケットにCPUを取り付けましょう。
CPUは非常に繊細な部品なので取り扱いには細心の注意を払って下さい。
文章で説明するよりも映像で見た方がわかりやすいと思うので動画お埋め込んでおきますので参照してください。
2・CPUクーラーを取り付けよう
CPUをマザーボードに固定したら次にCPUクーラーを取り付けます。
この時にキチンとクーラーが取り付けられていないと冷却装置としてしっかりと機能しないので
不具合が起こりやすくなるので、しっかりと取り付けましょう。
3・メモリを取り付けよう
次にメモリの取り付けを行っていきます。
使うマザーボードによってメモリスロットルの数が違うのですが大体4スロットの場合が多いです。
メモリは静電気に弱いので触る前に静電気を放出しておく事が望ましいです。
4・電源ユニットを取り付けよう
次に電源ユニットの取り付けを行うのですが、個人的にマザーボードをケースの中に取り付ける前に
電源ユニットを先に取り付けた方が作業がしやすいので、この順番でご紹介しています。
電源がセットになっているケースを用意している場合は電源が既に付いている事もあります。
電源の取り付けは特に難しい事はないので下記の動画を参考にしてみてください。
5・マザーボードをケースに取り付けよう
マザーボードをケース内に取り付けるのですが、手順通りに進めると
基本的に問題なく取り付ける事ができると思います。
ただ、配線類を繋ぐ作業がとても多いので時間が掛かると思いますが、ゆっくりと確実に行っていきましょう。
マザーボードの取り付け方も動画を貼っておくので参照してみてください。
6・HDDやドライブ類を取り付けよう
HDDや光学ドライブなどを取り付けて行きます。
こちらも動画がありますので参考にしてみてください。
7・配線を完成させよう
各パーツを電源ケーブルと繋いだり、HDDなどからマザーボードにデータを転送する為のケーブルなどを繋いでいく作業になります。
その他の事
仮にグラフィックボードと搭載する場合にはグラフィックボードの取り付けも行わなくてはいけません。
動画をどうぞ。
起動の確認とOSのインストールなど、まだやる事があるので一気に動画を紹介しておきます。
さいごに
ここまで自作パソコンの構築に関してご紹介してきました。
自分でパソコンを組むという事い二の足を踏む人は多いのですが、私は個人的にメーカーのパソコンを買うよりは
自分でパソコンを組み立てる事をおすすめします。
やはり、自分好みの一台を作るという事は大きなメリットだからです。
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