ハンドルやアクセルやブレーキに触れる事なく乗っているだけで目的地に到着するという、少し前のSF映画の中の世界が実現しようとしています。
2015年10月にアメリカの電気自動車ベンチャー企業のテスラが車の運転支援システムである『オートパイロット』を発表し話題になりました。
そのオートパイロットの詳細と進化する車の自動運転について詳しく取り上げてみたいと思います。
自動運転支援システム『オートパイロット』

SF映画の世界が実現する?
テスラが発表した運転支援システムのオートパイロットは車線変更や縦列駐車も完全自動で行う事が出来ます。
車体に搭載されているセンサーやカメラで周囲を細かく検知する事で車線をキープして走行したり前方の車両と適切な車間距離を維持しながら走行する全車速追従を実現しています。
そしてウィンカー操作をする事で自動で車線変更が行えるオートレーンチェンジを実用化する事にも成功しています。
車線変更もお手のもの!
車体に搭載された複数のセンサーやカメラで周囲の車両の位置や動きなどの状況を判断して把握するので自動で速度を調整しながら走行しますし、ウィンカーをダブルタップする事で車線変更も難なくこなします。
更に12個もの長距離超音波センサーを搭載しているので360°、半径4.8メートルの範囲内にあるものを検知して快適な自動運転を実現しています。
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テスラの現行Model SとModel Xには自動運転レベル2以上の技術が搭載されています。
自動運転のレベル | |
レベル1 | ハンドル、アクセル、ブレーキのいずれかを車が自動制御出来る |
レベル2 | ハンドル、アクセル、ブレーキの内2つを自動制御出来る |
レベル3 | ハンドル、アクセル、ブレーキ全てを自動制御でき、緊急時は運転者が対応する |
レベル4 | 運転者は運転に関与しない |
自動を完全に実現するには?
自動運転をレベル4で実現する為には高精度な情報を常に収集する必要があり、その為に必要不可欠のハードウェアと、集めた情報をフィードバックして適切な制御を行う為にソフトウェアの両方が高いレベルで充実しなければなりません。

現時点ではオートパイロットでもハンドルをいつでも操作できるうにしておく義務があります。
現在リリースされているModel Sでオートパイロットを起動して走行する場合には運転者はハンドルに手をかけておく事が義務付けられています。
テスラはハードウェアの強化の為に車周辺に存在する物体の硬さまでも感知する事が出来る超音波センサーを12個搭載して、高精度デジタルマップGPS、フォワードカメラ、レーダーという最強の布陣で車の自動運転をサポートしています。
更に上記システムを搭載した車からデータを得る事でソフトウェアは常に進化していくので、およそ3ヵ月に1回というハイペースで最新のソフトウェアをインストールする事が出来ます。
完全自動運転の実現に残された壁は?
非常に高いレベルでの自動運転を実現しているテスラですが、レベル4の完全自動運転というSFの世界を実現する為にはどんな壁が残されているのでしょうか?
現時点でのテスラの自動運転システム『オートパイロット』は2016年夏の時点でグローバルで1日に420万キロメートル程度の走行データを得ています。
しかし、大きな問題点としては環境はいつでも同一ではないという事です。
道路状況や交通の法律も車や歩行者の動きというのも国によってバラバラですし、それらを完全に網羅するにはオートパイロットの改良が必要です。
この一定ではない不規則な状況を正確に把握しなければ完全自動運転は実現出来ませんし、それこそが最大の壁になっています。
運転者が一切運転行為に関与しないレベル4の自動運転システムをリリースする為には我々人間が運転するよりも、遥かに自動運転が優れている事を証明しなければなりません。
それを確実に行う為には現時点よりも遥かに膨大な環境データが必要になりますし、それぞれの環境を細かくアップデートしてリアルタイムで把握し続けなくてはいけません。
テスラが現在取り組んでいる事は高速道路走行の能力に都市走行の能力を繋ぎ合わせるという作業です。
実際の所、難易度が高いのは都市走行能力で交通量の多い交差点や、条件により変わる走行環境、例えば冬期間は通行止めだったり、一定の雨量以上だと通行禁止という道や日曜日は歩行者天国になる道、何時から何時までは進入禁止などといった条件へのリアルタイムでの対応というのは難易度が高いです。
そういった条件や状況を完璧に把握して自動運転出来るようにならなければレベル4のリリースは不可能だからです。
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テスラの自動運転進化の道のり
2015年にオートパイロットを発表してからというものテスラの自動運転技術というのは凄まじい勢いで進化しています。
2017年中に再び超進化(ブレークスルー)が起こりそうなんです。
テスラが目指す自動運転戦略はこうなっています。
①2017年後期にModel 3の納車を開始します。
このModel 3には早くも運転者が運転に関与しないレベル4の完全自動運転に対応可能なハードウェアが搭載される予定になっています。
②2017年中にレベル4の完全自動運転で実際にアメリカ大陸を横断達成しようというプランがあります。
3ヶ月ごとに自動運転機能がアップデートされ間もなくニューヨーク→ロサンゼルス間を完全自動運転で走破出来るレベルに達すると言われています。
さいごに
テスラの自動運転の進化の凄さをご紹介してきましたが、その他にもテスラが誇るリモート駐車機能である『サモン』も注目です。
サモンはスマートフォンのアプリを使用して車に乗らずに遠隔操縦する技術です。
現時点では前進と後退しか出来ず、ハンドル操作は行えないのですが、乗り降り出来ない狭いスペースでの駐車や出庫に便利でしょう。
車内で本を読みながら、ゲームをしながら気が付くと目的地に到着しているという遠い未来の夢物語を現在で実現しようとしているテスラに注目です!
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